脳波-fMRI同時計測を用いたμ波の安静時変動に関わる神経基盤の解明

Neural correlates of resting-state mu-rhythm fluctuation as revealed by EEG-fMRI simultaneous recording)

  • 星野 英紀 (東京大学大学院医学研究科/国立精神神経医療研究センター脳病態統合イメージングセンター)
  • 小俣 圭 (浜松医科大学 子供のこころの発達研究センター)
  • Charles DaSalla (国立精神神経医療研究センター 神経研究所 疾病研究第七部)
  • 本田 学(国立精神神経医療研究センター 神経研究所 疾病研究第七部)
  • 花川 隆(国立精神神経医療研究センター 脳病態統合イメージングセンター)
  • Hideki Hoshino(Graduate school of medicine,the University of Tokyo/ Department of Functional Brain Research,National Center for Neurology and Psychiatry)
  • Kei Omata (Research Center for Child Mental Development, Hamamatsu University School of Medicine)
  • Charles DaSalla (Department of Functional Brain Research,National Center for Neurology and Psychiatry)
  • Manabu Honda (Department of Functional Brain Research,National Center for Neurology and Psychiatry)
  • Takashi Hanakawa (Integrative Brain Imaging Center,National Center for Neurology and Psychiatry)

μ波とは、頭皮上脳波で運動感覚皮質上から計測される8-12Hzのα帯域の脳波律動であり、運動や運動イメージによって減衰することから、近年表面脳波を用いたbrain-machine interface (BMI) に応用されている。しかし、μ波の発生・減衰のメカニズムやμ波が運動制御のどのような側面に関係しているのかについては不明な点が多い。今回我々は、脳波-fMRI同時計測系を用いて、健常者が安静閉眼状態を維持している際に生じるμ波パワーの自然変化と相関する脳領域について基礎的検討を行った。 健常成人被験者20人に対して、3T-MRI内で閉眼安静にて覚醒を保つよう指示し、20分間のresting-state fMRI撮像を行った。脳波はMRI内で使用可能な32チャンネルの電極を用いて計測した。fMRI同時計測により発生する脳波上アーチファクトの補正を行った後、左右の中心部電極(C3, C4)からμ波パワー変動の時系列データを生成し、血流動態関数の畳み込み積分によりfMRI解析の回帰子を作成した。  C3およびC4のμ波変動との解析の結果、両側の一次運動野、補足運動野、下前頭回(弁蓋部、三角部)、視覚関連皮質においてμ波パワーの変動と負に相関するfMRI信号変化を認めた。これらの領域は、先行研究において運動の観察時にμ波とパワー変動と負の相関が見られた部位と一部重なっており(Arnstein et al,2011)、運動野には安静時にもμ波パワーと逆相関する自発的な活動リズムが見られることが示唆された。



Last-modified: 2012-12-18 (火) 15:58:26