半球間連絡が両手協調動作におけるリズム生成機能に与える影響

In-phase movement in one hand helps out-of-phase one in the other hand in bimanual dual task

  • 内野 すみ江 (東北大学大学院医学系研究科肢体不自由学分野)
  • 大内田 裕
  • 鈴木 栄三郎
  • 会津 直樹
  • 唐志明
  • 阿部 玄治
  • 長井 真弓
  • 出江 紳一 (東北大学大学院医学系研究科肢体不自由学分野、東北大学大学院医工学研究科リハビリテーション医工学分野)
  • Sumie Uchino (Department of Physical Medicine and Rehabilitation, Tohoku University Graduate School of Medicine)
  • Yutaka Oouchida
  • Eizaburo Suzuki
  • Naoki Aizu
  • Zhiming Tang
  • Genji Abe
  • Mayumi Nagai
  • Shin-ichi Izumi (Department of Physical Medicine and Rehabilitation Tohoku University Graduate School of Medicine, Department of Physical Medicine and Rehabilitation Tohoku University Graduate School of Biomedical Engineering)

[背景と目的]一般的な両手協調動作において、左右手が同じ動作(対称動作)は安定しているのに対して、異なった動作(非対称動作)は不安定になる。なぜならば、左右手で異なる動作を実行する時には時間的・空間的に不一致な情報によって半球間で干渉が生じると考えられているからである。しかしながら、左右手で異なる動作を行って両手の動作が安定することはないのであろうか。このことを検証するために我々は外部刺激音に合わせる表拍, 刺激音から半拍ずらしてタップする裏拍タッピング課題を用いて実験を行った。[方法]被験者は健康成人22名(男性16名、女性6名、平均年齢29.4±11.0歳)実験1では、半球間連絡を調べるために両手対称動作(両手で表拍, あるいは裏拍を同時に行う)と非対称動作(片手は表拍、もう一方の手は裏拍)を行った。実験2では、左右手の不一致な情報からの半球間の干渉を受けないで実行される片手動作と両手非対称動作を比較するために、片手動作の表拍、裏拍タッピングを行った。計測指標は刺激音と実際にタップした時間差とした。[結果]裏拍タッピングの正確性はすべての条件の中で両手非対称動作中が一番高かった。[考察]裏拍のタイミングは聴覚からの聞いている音と次に鳴る音を予測して中点を同定しなければならず正確性は低下する。しかしながら、本研究の一方の手で表拍タッピングを行ったことで、もう一方の裏拍タッピングの正確性が高くなったことは、表拍タッピングの正確なタイミング情報が半球間連絡により、裏拍タッピングのタイミング生成に利用され、正確性を向上したと考えられる。



Last-modified: 2012-12-18 (火) 15:56:32