手による目標追従課題遂行中の眼球運動の振る舞い

Behavior of eye movement during continuous visuo-manual tracking task

  • 井上 康之 (電気通信大学大学院情報システム学研究科)
  • 阪口 豊 (電気通信大学大学院情報システム学研究科)
  • Yasuyuki Inoue (Graduate School of Information Systems, The University of Electro-Communications)
  • Yutaka Sakaguchi (Graduate School of Information Systems, The University of Electro-Communications)

本研究では,連続的に運動する視標の動きを手の動きで追従する課題における手の動きと視線の動きの関係について実験的に調べた.運動する視覚目標を手で追跡するとき,脳は目標の将来の動きを予測してフィードフォワード的な運動制御を行っていると考えられる.実際,周期的に運動する目標に対する追従課題では手の運動の位相は目標の位相に先行することが報告されている.しかし,正確な追従を継続するには,目標と手の動きに関する視覚情報を参照してパフォーマンス評価と運動計画を反復的に実行することが必要である.この過程において,視覚情報がいつ・どのような形で参照され,運動制御のために利用されているのかは明らかではない.その一方,目標の動きを手で追従する課題においては,手で追従する条件では,手の動きにはしばしば不連続的な振る舞い(運動間欠性)が見られる.このような運動間欠性の生じる原因の一つは,手や目標に関する視覚情報が脳に伝達されるまでの遅延や計画された運動指令が発行されてからそれが手の動きに反映されるまでの遅延にあると考えられているが,その具体的なメカニズムについては十分に検討されていない.以上の問題を明らかにすることを目的として,正弦波状に運動する視覚目標に対する手動追従課題を行った.この際,目標の運動速度(0.3 - 1.2Hz)と方向(上下,左右)を変えることによって,手と視線の間の協調関係がどのように変化するのかを調べた結果を報告する.



Last-modified: 2012-12-18 (火) 15:56:32