横方向のロコモーションにおけるステップ間隔のゆらぎ解析 Step-to-step variability of sideward gait patterns
日常生活やスポーツ競技場面では,横方向への移動が頻繁に用いられ,転倒防止や膝関節の傷害予防の観点から,安定した移動動作を行うことが重要である.これまで我々が行ってきた研究により,横方向のロコモーションは両脚支持期,跳躍期の有無によってWalk,Run,Gallopの3様式に分けられることが明らかになったが,本研究ではそれぞれの様式の変動性に着目して研究を行った. トレッドミル上で3種類のサイドステップ動作を行った.実験前にそれぞれの様式で最も快適に行える速度を決定し,その速度で8-11分間の試技を行った.実施速度はそれぞれ2.1 ± 0.2,4.0 ± 0.2,4.0 ± 0.2 km/hであった.中敷きに埋め込まれたフットスイッチにより,各足の接地・離地時刻を判定した.定常性の解析として変動係数(CV)を,非定常性の解析として,Detrended Fluctuation Analysis (DFA) 法を用いた. 結果,Walk,Run,Gallopの変動係数(CV)は3.3 ± 0.7,3.3 ± 0.6,2.6 ± 0.6 %であり,DFAによって得られたαはそれぞれ0.80 ± 0.13,0.88 ± 0.15,0.91 ± 0.13であった.αの値は,0.5はランダム性,1は長期相関性のゆらぎを反映しており,3様式とも長期相関性を持っていることが明らかとなった. 歩行の研究ではαは加齢や神経疾患,動的自由度の大きさを反映することが報告されており,横方向のロコモーションにおいても非定常解析がそれらとの関連性を反映させる方法として期待が持てる. |