接地状況を考慮した解剖学的神経筋ネットワークに基づく体性反射歩行コントローラの構築

A Neuromuscular Locomotion Controller Adapted to Foot Contact Conditions

  • 村井 昭彦 (東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻)
  • 中村 仁彦 (東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻)
  • Akihiko Murai (The University of Tokyo, Department of Mechano-Informatics)
  • Yoshihiko Nakamura (The University of Tokyo, Department of Mechano-Informatics)

歩行中の外乱に対して,ヒトは全身の筋を使って反応しバランスを取ることができる.これは外乱直後の体性反射による反応と,上位中枢を介したバランス維持に分けられる[Nashner1976].一方ヒューマノイドロボットにおいて,COMの軌道の修正によるバランス回復[Sugihara and Nakamura2002]等外乱に対するコントローラの開発が数多く行われている.しかし外乱のセンシングや計算コストの問題等から大きな外乱にロバストに対応できるコントローラは少ない.体性反射による反応は機構的な実装が可能であり,上記問題を生まずにコントローラをロバストにすることができる. 本研究では,筋骨格モデル及び神経筋ネットワークを構築し[Murai and Nakamura2009],体性反射システムの同定を行っている.神経筋ネットワークは筋の固有感覚を入力とし,信号伝達の時間遅れを考慮した筋活動度を出力する.そして各固有感覚受容器と筋のネットワークは,脊髄を介した解剖学的な接続に基づいたニューラルネットワークとして表現される.同定において,まず運動データから筋活動度及び固有感覚を推定する.そして固有感覚から筋活動度が出力されるようネットワークの重みパラメータを学習する.ここでは足の接地によりネットワークの切替を行い,学習の比較を行っている.接地を考慮しない場合と比較して歩行で13.2%,走行で26.8%の学習後のエラー低減が認められる.また得られた体性反射ネットワークを歩行コントローラとして,体性反射による筋活動と順動力学計算に基づく歩行や外乱に対する反応のシミュレーションを行っている.



Last-modified: 2012-12-18 (火) 15:56:32