予測的姿勢調節と代償的姿勢反応との筋活動の関連性について Association of muscle activities between Anticipatory postural adjustments and Compensatory postural response
【背景】随意運動に先行して出現する姿勢反応を予測的姿勢調節 (APA),姿勢動揺の感覚入力に起因して出現する姿勢反応を代償的姿勢反応 (CPR) と称されており、これらの制御上の関連性については明らかではない.本研究の目的は,筋活動量を指標としてAPAとCPRの関連性について明らかにすることだった.【方法】健常若年男性8名を対象とした.素早い両上肢の水平外転運動により物体 (重錘A) を離す課題と,それと同時に重錘 (重錘 B) を取り付けた紐で体幹が牽引される課題によって生じる2つの姿勢動揺によりAPA筋活動とCPR筋活動の両方を同施行内で生じさせた.重錘A (体重の7%,3.5%,0%) と重錘B (体重の5%,2.5%,0%) の組み合わせを変えた計8課題を実施した.重錘Aを一定にし重錘Bを変えた組み合わせをgroup-1,group-2とし,重錘Aを変化させ重錘Bを一定にした組み合わせをgroup-3,group-4とし,10姿勢筋の各積分筋活動量を二元配置分散分析により比較した.【結果】重錘Aの重さが体重の7%と0% (Group1とGroup2) の課題の比較では,CPR筋活動に関して重錘Aの主効果はなく,重錘Bの重さのみ主効果が認められた.重錘Bの重さが体重の5%と0% (Group3とGroup4) の課題の比較では,APA筋活動に関して重錘Aと重錘B共に主効果が認められ,相互作用も認められた.【結論】CPR筋活動はAPA筋活動に影響されずCPRを誘発する感覚刺激に依存する。一方,APA筋活動はCPR筋活動の影響を受け、直後の姿勢動揺の大きさを予測して変化する. |