片麻痺患者の立位における安定性限界の特性について

Characteristics of limits of stability during standing in stroke

  • 津田 章代 (北海道大学大学院保健科学院,医療法人ひまわり会札樽病院)
  • 望月 智行 (医療法人ひまわり会札樽病院)
  • 小西 智也 (北海道大学大学院保健科学院)
  • 泉 達弥
  • 萬井 太規
  • 山本 敬三 (北翔大学生涯スポーツ学部)
  • 浅賀 忠義 (北海道大学保健科学研究院)
  • Tsuda Akiyo (graduate school of sciences, Hokkaido university, sasson hospital)
  • Konishi Tomoya (graduate school of sciences, Hokkaido university)
  • Izumi Tatsuya
  • Manni Hiroki
  • Yamamoto Keizo (School of Lifelong Sport, Hokusho University)
  • Asaka Tadayoshi (Faculty of Health Sciences, Hokkaido University)

【背景】脳卒中後の片麻痺患者は一般に非麻痺側への荷重が多く,麻痺側下肢は外旋位となる.支持基底面 (BOS) 内で足圧中心 (COP) を随意的に移動できる範囲のことを安定性限界と称されているが,麻痺側下肢の非荷重や外旋位が安定性限界や足底の荷重配分にどのような影響を与えるのかは検証されていない.本研究の目的は,片麻痺患者の立位における安定性限界と足圧分布について健常者と比較することにより,その特徴を明らかにすることだった.【方法】対象は,片麻痺患者 (65.0±14.2歳) 10名,健常者 (66.9±14.1歳) 11名だった.足圧分布の測定にはPedar-x (Novel社製) を使用した.被験者は,左右下肢の外旋角度が対称である場合と,片麻痺患者は麻痺側下肢,健常者は利き足を30°外旋した場合,45°外旋した場合のそれぞれの条件で前後左右に片手でリーチ動作を行った.前後左右のCOP最大到達位置を結んだ線に囲まれた面を安定性限界としてBOSとの面積比を比較した.足圧はCOP最大到達時の分布を比較した.【結果】片麻痺患者の安定性限界の面積比はすべての条件において健常者より有意に小さかった.また,健常者はBOSが広くなるにしたがって安定性限界の面積比が有意に大きくなるが,片麻痺患者は変化しなかった.さらに,片麻痺患者は麻痺側へのリーチの際,すべての条件において非麻痺側の母趾,前足部と麻痺側踵への荷重が有意に強く,麻痺側の母趾と前足部への荷重が有意に弱かった.【結論】片麻痺患者は下肢の外旋によってBOSは広がるが,麻痺側母趾や前足部への荷重が弱いために安定性限界は広くならない.



Last-modified: 2012-12-18 (火) 15:56:32