子どもと成人の歩行中の関節間協調の比較 A comparative study of walking patterns of adults and children from the viewpoint of leg joint synergy
ヒトは、膝関節が伸びすぎたら足関節を曲げるというように、互いの関節の動きを補い合うように協調的に動かすことで、外乱に柔軟に対応して転ばずに歩行をしていることが近年の研究結果により示唆されている。一方、子どもの歩行は成人の歩行様式とは違うことが違うことがよく知られているが、上記のような関節間協調の視点からどのような違いがあるのかはまだ明らかになっていない。そこで本研究では、関節間協調の視点により小学3年生の子供と成人の歩行中の関節間協調の様子にどのような違いがあるかあるかを探った。その結果、小学3年生の被験者6人中3人の被験者の歩行中の関節角度の一歩ごとのばらつきは成人に比べて大きく、関節間協調の視点から比較しても成人とは異なっている点があることがわかった。例えば、立脚期前期において成人の場合は足先の水平位置を調整する関節間協調は弱いが、ばらつきの大きい子どもは足先位置を調整する関節間協調が強く観察された。また、成人は後期両脚支持期(対側の着地後)に足先位置を調整する関節間協調が強く観察される一方で、子どもはそのタイミングが両脚支持期以前にずれて観察されることがわかった。これらのことは、成人の歩行様式に至るまでにヒトは関節間協調の活用法が変化していることを示唆している。 |