Impairment of relaxing muscle contraction after stroke with sensory deficit (Preliminary data)
背景:素早く動作を切り替えるような巧緻動作を行う際には、筋肉の素早い収縮と素早い脱力が必要となる。脳卒中患者においては、この機能が低下する報告が多くされている。しかし、巧緻動作を行う機能がどのように変化するかは分かっていない。また、脳卒中患者の評価においては、最大握力などの指標を用いた評価は多く行われているが、速さを必要とする課題を用いて評価することは少ない。そのため、本研究の目的は、健常成人と脳卒中患者で筋肉の素早い収縮と脱力を行う際の反応時間にどのような差が生じるか調べることとした。 方法:対象は、健常成人8名、脳卒中左片麻痺患者2名とした。患者の運動麻痺の程度は手指の集団伸展が可能なBRSステージⅣであり、麻痺による重症度は変わらないが、表在・深部ともに感覚障害を持つ感覚障害が軽度と重度の2名である。課題はモニター上に呈示された、他者が握る・離すという動作の画像に合わせ、できるだけ早く電子握力計を握る・離すという動作を行った。これを一側手で20回繰り返し、左右の手で計測した。握る動作の画像提示がされてから握るまでの時間と離す動作の画像提示がされてから離すまでの反応時間を記録した。 結果:感覚障害が軽度の患者では健常者と比較して握る・離す反応時間ともに有意な差は認められなかった。重度の患者では健常人と比較して握る反応時間では差は認めなかったが、麻痺側の離す動作のみ反応時間が有意に遅くなった。 考察:脱力課題には感覚情報が重要であり、感覚障害が重度であるほど反応時間は遅くなる。離す動作はより感覚に依存した動作であることが伺える。 |