上肢運動における運動観察,運動イメージ,運動実行中の脳活動:fNIRS-EEG研究

Brain activity during observation, imagery and execution of upper-limb movement: An fNIRS-EEG study

  • 中野 英樹 (畿央大学大学院健康科学研究科,日本学術振興会)
  • 植田 耕造 (畿央大学大学院健康科学研究科)
  • 大住 輪弘
  • 森岡  周
  • Hideki Nakano (Graduate School of Health Science, Kio University/ JSPS)
  • Kozo Ueta (Graduate School of Health Science, Kio University)
  • Michihiro Osumi
  • Shu Morioka

 リハビリテーションにおいて,運動観察や運動イメージは,運動機能回復を目的とした有効な介入手段の一つである.上肢運動における運動観察,運動イメージ,運動実行中では類似した脳領域が賦活することがfMRIを用いて明らかにされている.しかしながら,fMRIを用いた測定は身体の拘束性が高く,実際の日常生活とは異なる環境である.そこで本研究では,身体の拘束性が低く,日常生活と同様の環境で脳活動の測定が可能であるfNIRS-EEGシステムを用いて,上肢運動における運動観察,運動イメージ,運動実行中の脳活動について検討した.  対象者は,背もたれのある椅子に座り,箸動作と金槌動作の運動観察,運動イメージ,運動実行を行った.運動観察―運動イメージ―運動実行を1試行とし,計3試行実施した.各条件のプロトコルは,rest (15 s) – task (15 s) – rest (15 s) – task (15 s) – rest (15 s)とし,その時の脳活動をfNIRS-EEGシステムを用いて測定した.  NIRS-SPM解析の結果では,各条件ともに運動関連領域のoxy-Hbの有意な増加を認めた.また,各条件ともに共通して運動前野の活動を認めた.power spectrum解析の結果では,各条件ともに運動感覚領域 (C3, Cz, C4)においてalpha帯域のERDを認めた.  本研究は,日常生活と同様の環境においても上肢運動における運動観察,運動イメージ,運動実行中の脳活動部位および脳波パワー値は類似することを明らかにした.



Last-modified: 2012-12-18 (火) 15:56:32